Discography
2nd Album IZUMI
シンプルなルーツ系アメリカーナ・サウンドに乗って心温まる歌声をお届けする
- All of Me
- Are You Lonesome Tonight
- 君に会いに行こう
- あなたにそっとLove Song
- I Wonder Where You Are Tonight
- Blue Blue Moon
- Hobo’s Meditation
- 心のテネシー
- Summer Time
- ひまわりの花(Hard Times Come Again No More)
- ロンサムメロディー
- Cabinの夜
Musicians:
- きたむらいづみ Vocal, Banjo, Chorus
- 奥沢明雄 Acoustic Guitar, Electric Guitar, Mandolin, Synthesizer, Chorus
- Dr.K 徳武弘文 Electric Guitar
- 尾崎孝 Steel Guitar, Resonator Guitar
- 宇戸俊秀 Keyboard, Accordion, Organ
- 岸本一遥 Fiddle, Chorus
- 有田純弘 Banjo, Chorus
- 竹内信次 Mandolin, Chorus
- 渡辺茂 Acoustic Bass
- 高橋結子 Drums, Percussion
- 倉井夏樹 Blues Harp
- 古屋克己 Autoharp
- Special Guest 福原照晃
- Produced by きたむらいづみ
- Associate Producer 奥沢明雄
- All arranged by 奥沢明雄
- Recording Engineer 釆原史朗
- Assistant Engineer 戸谷広志
- Mixed & Mastered by 釆原史朗
- Recorded & Mixed at Swing Bamboo Studio
- Mixed & Mastered at Studio Matryoshka
Album Covers:
- Covers,P.6 Tray Card Photos by 小森谷信治
- Other Photos by 北村有三
- Hair and Makeup 吉崎絵里子
- Closing Stylist 玉熊真希子
- Cover photos at at gallery closet
- Special thanks to Juta Sugai
1st Album Izumi,Sweet Grass
ソフトなブルーグラスサウンドの全曲日本語によるオリジナル集
- Sing A Song For You
- ハイロンサムな彼
- 時のタペストリー
- Apartment House 105
- 今日は楽しいフェスティバル
- フェスの夜
- Sweet Heart Breakdown
- 花のように愛してる
- 夕日のハイウェー
- Ohio からの手紙
- 夢路
- あなたに想いをよせて
Musicians
- きたむら いづみ Vocal, Banjo
- 宮崎勝之 Mandolin
- 五十川清 Drums, Percussion,Steel Guitar
- 坂庭省悟 Guitar
- 川辺ぺっぺい Bass
- 吉田悟士 Banjo
- Richard Bailey Banjo
- Rob Ickes Dobro
- Cassy Driessen Fiddle
- Kathy Chiavola Harmony Vocal Musicians
- All songs written by: 北村伊住
- Produced by : 宮崎勝之、 五十川清、 北村伊住
- Recorded at : folio-music.com
- Recorded & Mixed at : Monkey Finger Studio Nashville TN
- Engineered by : 丸山正浩 Brent Truitt
- Mixed by: Brent Truitt , 宮崎勝之
- Mastered at: Final Stage Mastering
- Mastered by : Randy LeRoy
- Liner Notes by : 渡辺三郎
- Photography by : 上田浩江、宮崎勝之、北村有三
- Art Works: 西村和志&North Hill Co.Ltd.
徳武 弘文(Dr.K)様から頂いたコメントです。
非常にリラックスしたサウンドで気に入りました、音も良いですね、勿論歌声も演奏も素晴らしいです。これからも御活躍期待しています
伊集院 博様から頂いたコメントです.
Izumi, Sweet Grass を聴いて
全編を通じて爽やかな流れで、タイトルに偽りなき<スウィート・グラス・サウンド>であった。よき演奏者とスタッフに恵まれ、ナッシュビルでの録音となるとまさにベスト・アルバムと言えよう。北村伊住さんは関西ではマドンナ的存在で、グループを率いての活動は目を見張るものがあり、自らバンジョーを奏でてブルーグラスやカントリーを見事に歌いこなす姿には思わず拍手が送りたくなる。がなりたてるようなヴォーカルではなく日本語を大事にしながら<聴かす術>もうかがえる。バックのバンジョー、マンドリン、リード・ギター、その他の楽器担当がそれぞれの役割をわきまえて、出すぎたところもなく全体のバランスがとれて聴きほれてしまうという構成になっている。全ての作曲を手掛けたとあり、女性らしい曲の作りも見えるが立派なシンガー・ソング・ライターと評価したい。テンポもいい一曲目「Sing A Song For You」やメディアム・テンポがぴったりの「ハイロンサムな彼」、ブルーグラスのオリジナル編成にドブロも加わって、ややブルース調になっている「Apartment House 105」、フェスの模様も浮かぶような「今日は楽しいフェスティバル」などがいい。完全なブルーグラス・インスト「Sweetheart Breakdown」ではプレイヤーがご自慢の腕を聴かせた。
「花の様に愛している」のソロもシンプルなギターがヴォーカルを引き立てる。「Ohioからの手紙」ではナターシャ・セブンのサウンドも思わせるような感じもした。バック・コーラスも交えての「あなたに思いを よせて」を最後に最高のディスクを聴かせてもらった。これからもますますのご活躍を期待しております。
大阪・伊集院博
Izumi,Sweet Grass Recorded at folio Studio ,Kyoto Photography by Y.Kitamura
2001年6月、録音がスタートしました。コアメンバー,Japan sideの録音です。
先ずはコアメンバーが全員揃って、ベーシック音を3日間で録音、私にとっての1st.ソロアルバム。
プロデュースをして頂いたベテランの五十川清さん、宮崎勝之さん、そして、ミュージシャン方々には心から感謝しております。京都でのCD録音は今まで長い間暖めたハートがこれでやっと形になって生まれるという喜びと、優しい風に包まれた様な幸せなCD録音でした。
左から・吉田さとしさん、坂庭省悟さん、IZUMI、五十川清さん、宮崎勝之さん、川辺ぺっぺいさん
坂庭省吾さん・・・ザ・ナターシャ・セブンを経て、1999年よりソロを中心に朋友の城田じゅんじさんとのデュオなど、多彩な活動をなさってられました。宮崎さんとのギター&マンドリン・アルバム『Battle One』の他、数多くのアルバムに参加しておられ3作目のソロ・アルバムには『Hobo’s Lullaby』がリリースされています。すばらしいギタープレイで省悟さんの魂を私のCDに注ぎ込んで下さって、心から感謝の気持でいっぱいです。
夢路
青い月の光 今宵を照らす
夜の桜並木 夢路たどれば
遠い思い出の中に 遊ぶ友の姿
風にゆらゆらゆれ 微笑む 桜
青い星の光 今宵を照らす
夜の桜並木 夢路たどれば
淡い花びらの中に 光るあなたの笑顔
風にゆらゆらゆれ 微笑む 桜
CD制作のプロデューサー五十川さん(左)と私、宮崎さんとちょっと一服です。
オペレーターの丸山正浩さん(左)とプロデューサーと一緒に・・・電気楽器と違って生楽器のCD録音となると、マイクから音をとるのでその技術が難しい・・・有難うございました。スタジオ内は防音、まるでエレベーターの中に長時間いる様な感覚で、この空間が苦手な人もおられる様ですが、私は全く平気でした。
ベーシック音の録音です・・・この曲は、このテンポ&リズムで良いかを1曲ずつ慎重にチェック、チェック!!
「OK?」「はい、OK」
詩や曲は、自分の心の中にある辛い事や悲しい事、すべてを
爽やかな気持に切り替えた中から生まれ、それによって私のハートは随分救われました。
CD制作の5年前、私の作ろうとしているサウンドををミュージシャンに説明するのにお手本がなく・・・
「ブルーグラス楽器にドラムも入って軽い感じで、ブルーグラスとカントリーとオールドタイムをベースし、
ボーカルはソフトな日本語で・・・ナターシャ・セブンの女性版、それをもっとエレガント&ソフトにした様な
感じになるかも」と、ややこしいイメージをお伝えしていました。
制作前は英語で歌う方が断然多かったので私にとって日本語で歌う事は自分に向けての大きな挑戦!
恐くもありましたが、今から考えると何かに強く引っ張られた様な理屈では説明の付かない運命だった。
としか言い様のないCD制作であったと思います。
ブルーグラスはストレートなボーカルのイメージがあるのでソフトなボーカルだとそれらを覆す。ひょっとしたら
ブルーグラスファンからすごく批判されるかもしれない、と思いつつ・・・イメージの中で聞こえるソフトな
「Sweet Grass」に一直線に向かっていました。
もっと一般の方にも、ブルーグラスを知ってもらう引き金の一つになる事を祈りつつ「Izumi,Sweet Grass」の
CDを作りましたが、偶然にもCD発売しました2002年には、映画「Oh,Brother」の影響でこのジャンルの音楽が
マニアックなものから一般の方にも知られる様になり、この音楽と私との深い絆の様なものを感じました。
(’03.12.2 BBSの書き込みより)
ご質問・・・CDのジャケットに、“All songs written by 北村伊住”って書いてありますが、
作曲もされているのでしょうか?それとも有名な曲に作詞だけされているのですか?
北村さんが、このCDでバンジョーを演奏されているのは、何番の曲なんでしょうか?
私からの返信・・・すべての曲は、長年この音楽を愛してきたハートから溢れ出た私の感性で
つくりました。一見さらっとしたサウンドですが、ブルーグラス、カントリー、オールドタイム、が
軸となりフォーク、ロック、ジャズも少し加わって、奥深く入って行ってます。私のオリジナル曲での
ボーカルは、ソフト&スイートに仕上げたかったのでジャンルは違いますが・・Teresa Bright(ハワイアン)、
小野リサ(ボサノバ)、Rick Nelson(オールディーズ)の影響も多分に受けています。
CDの中で私がバンジョーを弾いているのは6曲目「フェスの夜」と7曲目のインスト
「Sweet Heart Breakdown」の2曲です。どうしても上手な人と比べてしまうので最初は
バンジョープレイを拒否していましたが、昔はもっとバンジョーを弾いていた証に是非入れた方が
良いという宮崎さんの勧めと、スタンレーはスタンレー弾きの味がある様にいづみ弾きで
良いという励ましで、清水の舞台から飛び降りました。
(’03.12.4.BBSの書き込みより)
ご質問・・・勝手な想像ですが、CDを制作する時に悩むのは、有名な曲を選ぶのか、自作の曲を中心に
するのか。また、録音メンバーに、有名プレーヤーを配置して、CDとしてのクオリティーを高める方法を
とるのか、それとも、いつものバンドメンバーでありのまま(若干のゲストプレーヤーを迎えて)の姿を
記録するのか。いづみさんも悩まれたことだと思います。ましてや、制作中にテロ事件があって渡米を断念
されたということですので。私が感じますに、日本では有名な曲のカバーが好まれるようですが、アメリカでは、
オリジナル曲を持っていないと相手にされないというか、プロフェッショナルとしてみてもらえないようです。
私からの返信・・・CD制作は2人のプロジューサーと共に準備を進めていったのですが・・
オリジナル曲はミュージシャンというよりアーチストという風に聞いておりました。
それで、宮崎さんにはナッシュビルで録音する様にと強く勧められましたが、その頃はまだCD録音
の事も良く判っていなかったので、今から考えると「大胆な制作をしたな」と改めて思い返しています。
家を長く空ける事もできなく「歌だけは日本で録音したい」の希望を聞いてもらい結局、京都&ナッシュビルの
録音になりましたが、すべてナッシュビルで録音した方が本当はもっと簡単で経費も安く済んだとおもいます。
ナッシュビルでのオーバー&ミックス・ダウンを自分で確認する予定にしていましたが、テロでやむなく渡米前日
キャンセル。この後がてやわんや・・・毎日ナッシュビルとの電話連絡でした・・・。
引き続きナッシュビルのお写真をご覧になって下さい
あなたに想いをよせて
時は過ぎて 時代は変わって行く
喜び悲しみを おいて行く
友達が残した 輝く笑顔と
あなたがくれた 熱い想い, あなたがくれた 熱い想い
夜空の星が 好きなのは
あなたの瞳が どこかにある
懐かしい言葉で ささやく風が
私の心を通りすぎた, 私の心を 通りすぎた
今の輝きはなち 歩いて行く
別れと出会いを 繰り返し
いつか又どこかで きっと出会う
あなたに想いをよせて, あなたに想いをよせて
Recorded & Mixed at Monkye Finger Studio Nashuville, Tennessee (2001)
Kayhy Chiavola さんからのメッセージ
2002/12/1
Dear Izumi,
Thank you so much for sending your wonderful cd with the beautiful and thoughtful gifts!! You are so kind. I love your music and am very proud to be on your recording!!! What a fantastic accomplishment! Congratulations.
I love the handkerchief, the coasters and the fan with your note. They are all treasured reminders of your generous heart. Good luck with your career and many blessings!
Kathy Chiavola
本場アメリカのブルーグラス・ミュージシャンとの交流は、私達日本のBG愛好家達と色んな所で気さくに行われています。滋賀にも今までに何人ものすばらしいミュージシャンがいらっしゃいました。が、私にとって自分のソロアルバムに参加して頂いたミュージシャンは特別な存在であります。遅ればせながら「Izumi,Sweet Grass」のCDに参加して頂いたナッシュビルのミュージシャン・・・
Richard Bailey (Banjo), Rob Ickes (Dobro),Cassy Driessen (Fiddle),Kathy Chiavola (Harmony Vocal)方々に出来上がったCDをお送りしました。
2002年12/1の朝、Kathyから嬉しいメールが届き感謝の気持でいっぱいです。
月刊ブルーグラス・ジャーナル 『ムーンシャイナー』編集長 渡辺三郎さんのライナーノーツ
月刊ブルーグラス・ジャーナル『ムーンシャイナー』編集長 渡辺三郎
「音楽」って何だろう?……何故、私達は「音楽」を聴き、創り、…感動したり、無視したり、それでもなお、何故「音楽」しようとするのだろう?しかも、こんなに不自由な現代社会の中で……!?私達は、「恵まれた社会にいる」という現実と幻想の中で、「自分を見失う」という恐れを、どこかに感じながら、「ままよ」とばかり、気合いで日々を過ごしている、という風に感じる事ってないだろうか?…世の中には「一般的」な情報や音楽があり溢れているために(それを甘受している限りは自由で恵まれていると感じられる社会なのでしょうが…)、肝心な、例えば心を揺さ振るような情報や音楽にたどり着くには、よほどの意志を持って腰を据えるか、よほどラッキーな環境にいるか、……ここは実に不自由な社会であると、僕は思う。
北村伊住=きしみちゃんが中学生だった頃、1960年代当時としては珍しく、女性でありながらバンジョーを弾こうと思い始めた彼女は、梅田ナカイ楽器バンジョー教室に通い始める。兵庫県尼崎市の「中学1年生だった」、というから驚きである。彼女の音楽に対する感受性は「小学生の頃に『ジュリー・アンドリュース・ショウ』でアメリカン・ミュージックに興味を持ち、ニュー・クリスティ・ミンストレルズでバンジョーに感動した」ことから始まったというのだから……。
高校生になると、神戸市立外国語大学の女性ブルーグラス・バンド、ケンタッキー・ハニーズ出身のまりちゃんらと『パピィ&ブルーグラス・ドーターズ』を結成、第1回宝塚ブルーグラス・フェスティバルに参加する。フェス主催者の私は、彼女が”お転婆なお嬢さん”であった事を認めておこう。バンドのレパートリーは、「スタンレーズ、ジム&ジェシー、オズボーンズなど、ブルーグラス一色だった」という。
追手門大学大学時代は女性ブルーグラス・バンド『ブー・フー・ウー』他で活躍。フォークを目指してきた新入部員に「ブルーグラスのLPを聴かせたり、バンジョー弾いたり、唄ったり……何の色にも染まっていない人達がどんな反応を示すか、ドキドキワクワク…」と、自分の情報を発信し始めたようだ。同時に、楽器の上達と共に、本来の興味であったアメリカン・ミュージックの幅広さにのめり込み、特に、マリア・マルダーには、彼女の音楽歴も含めて、私淑していたようだ。大学卒業当時には『メディスン・ショー』というカントリー・ロック・バンドに参加、オリジナル曲で、某メジャー・イベント”ポプコン”の関西地区準優勝をしている。
大学卒業後には、『リリーいづみ&フレンズ』というアコースティック・バンドで「泥臭いボーカル」を唄いつつ、ロック・バンドを続け、大阪に本拠を置いていたブルース・シンガーらのレコーディングやライブなどに参加する。その頃の経験が、彼女の「音楽」を大きくしたに違いない。再び「ブルーグラスが恋しいと思い始めた頃」に、神戸大学ブルーグラス出身のゆきちゃんや信ちゃんらと共に『ブルーグラス・スキャンダルズ』を結成。その存在は、その名に恥じず、男社会を謳歌していた関西ブルーグラス界の驚異であった…!?。
結婚、そして滋賀県へ、長男誕生、長女誕生……、僕の知っていたお転婆娘は、見事に良妻賢母となった!?…が、「本当の私を探す長い心の旅でバンジョーとの深い絆を見つけ、あるとき、聴いたこともないメロディーが私の心を通り過ぎ、そのメロディーに乾いた心が癒された」という。
1997年、「様々なジャンルやオリジナル曲を、ブルーグラス・ハートを経由して歌いたい」と、『IZUMI, Sweet Grass』コンサートで活動を再開、99年にはフォーキーなバンド『北村伊住&ドギーズ』での活動も始める。『スウィート・グラス』コンサートの活動を続けるうちにサウンドが固まり、2001年、宮崎勝之と五十川清、両氏と共にアルバム制作にこぎつけた。
参加ミュージシャンについて
アルバムのバックアップは京都で活躍するアコースティック・ミュージシャンを中心に、ナッシュビルのトップ・アーティストが参加している。
このアルバムのプロデューサーでもある宮崎勝之は、フルタイムのマンドリニストとして様々なバンドやセッションで活躍。ソロ・アルバム『Man-O-Mandolin』はナッシュビル録音され、IBMA(国際ブルーグラス音楽協会)年間最優秀アルバムにもノミネートされた。もう一人のプロデューサー、五十川清はドラムスとペダル・スティール・ギターを担当。宮崎と共に、『少年倶楽部』でアルバムがある他、ロックバンド『エレメンツ』では、メジャーからのアルバム・リリースもあり、その他、『ネーネーズ』をはじめ、数多くのプロジェクトに参加している。ギタリストの坂庭省悟はザ・ナターシャ・セブンやSAMを経て、現在はソロを中心に、朋友の城田じゅんじとのデュオなど、多彩な活動をしている。宮崎とのギター&マンドリン・アルバム『Battle One』の他、数多くのアルバムに参加しており、3作目になる最新ソロ・アルバム『Hobo’s Lullaby』が今春発売されたところだ。ベーシストの川辺ぺっぺいは、様々なセットでロックやサルサ・バンドを中心に活躍する一方、最近は『宮崎勝之トリオ』に参加、幅広い音楽をサポートするミュージシャンである。昨年はキャシー・キアボラ日本ツアーでベースを担当している。吉田悟士は滋賀県の八日市市で『くらま楽器』を経営。ピアノ調律士という抜群の音感でバンジョーを自在に扱う。毎年恒例の米国ツアーのために結成されたスーパーバンドのアルバム『Japanese Bluegrass Band』がある。
3曲でバンジョーを担当するリチャード・ベイリーは、北村伊住のアイドル・バンドでもあるという『クラスター・プラッカーズ』のメンバーで、ソロを含めた数々のアルバムやセッションに参加している。
ロブ・アイクスはIBMA年間最優秀ドブロを4年連続で受賞したスーパーピッカーで、現在は『ブルー・ハイウェイ』のメンバー他、ドリー・パートンをはじめ数多くのセッションで活躍中。今春、ソロ3作目になるアルバム『What It Is』を発表したばかり。ケーシー・ドリーセンは現在、最も期待される若手フィドラーで、バークリー音楽院を卒業後、ナッシュビルに移ってきたばかりである。ティム・オブライエンやダロル・アンガーとのセッションの他、クリス・ジョーンズ&ナイト・ドライバーズに籍を置いている。2曲でハーモニーを歌うキャシー・キアボラは、ナッシュビル音楽大賞で最優秀バックグラウンド・ボーカリストに選出されたシンガーで、ビル・モンロー、エミルー・ハリス、タミー・ワイネット、ビンス・ギル、ガース・ブルックス他、数え切れないセッションで知られている。
昨年、ソロ3作目『From Where I Stand, A Personal Tribute』を発表している。
……「音楽」っていうのは、その「人」そのものだと思う。特に、ブルーグラスのような民衆音楽は、ある種のスタイルがあっても、結局は、その「人」のものであり、その人の歴史を知る事によってその音楽が、聴き手の情報量に応じて様々な意味を持ってくるというものではないだろうか。つまり、「音楽」を聴くという事は、その「人」を知るという事に他ならないのではないだろうか。
きしみちゃんは中学生の時に、少し変わった音楽と楽器に興味を持ち、簡単には手に入らない情報を追い求め、紆余曲折を経ながら、ここに自分の音楽をものにした。その音楽は、一聴すれば耳に心地良く、優しいメッセージに包まれている。しかし、耳に入ってくる音とは別の、不自由な社会の中でもがいてきた女性のしたたかな強さ、秘められたインパクトを聴き取る事が出来るような気がする。長年、英語で抑え難い衝動(インパクト)を持つブルーグラスやブルースを唄ってきた彼女、そんな彼女が創るオリジナルに込められたメッセージは、周囲の人達やブルーグラスをはじめとするジャンルを越えた音楽、そして少女時代から大好きだった楽器、バンジョーへの優しい(スウィートな)愛情と視線……その相反するように思える彼女の音楽感にこそ、このアルバムの、北村伊住の魅力が潜んでいるのではないだろうか。一見すると恵まれた社会、しかし、何かに一生懸命になろうとすればするほど不自由な社会、そんな中、なおさらに厳しかった日本の音楽状況の中で、彼女はよくここまでやって来たものだと思う。現在は大きく花開いた女性ブルーグラスの、北村伊住は、その真のパイオニアの一人である.
きたむら いづみ『Sweet Grass』・・・ブルーグラス・ジャーナル 「ムーンシャイナー」誌、2002年4月号掲載
My Essay
こんなステキなサウンドをもっと多くの人に・・・
「CDを作りたい」と思うきっかけとなったのは、とても身近で小さな事からです。
・・・私自身、生活の中で、とても疲れ心が乾いている時期がありました。でも、それらは心の中から溢れでたオリジナル曲を作る事によって、徐々に癒されました。
私のオリジナル曲を、ブルーグラス・ミュージックに興味を示さなかった娘が、日本語だからすぐに覚えたのか、よく口ずさむ様になり、それが引き金で、娘もブルーグラスを聞く様になりました。その事は思ってもみなかった事で、私にとって、とても大きな発見と喜びになりました。
小学生の頃からアメリカン・ミュージックが好きで、13歳からバンジョーを弾き始めた私にとって、ブルーグラス・ミュージックを含むアメリカン・ミュージックには悲しい時、嬉しい時と長年に渡り人生のパートナーとしていつも助けてもらいました。そんな私自身、人生の半ばを過ぎた頃になって、「こんなステキなサウンド、音楽をもっと多くの人達に聞いてもらいたい、そして愛してもらいたい」、と願うようになり、その引き金になれるようなサウンドを「私なりの感性で作ってみたい!」、と日増しに強く思う様になりました。
今までは日本語よりも英語で歌う方が断然多く、「ブルーグラス楽器を使っても日本語で歌うとそれは、ブルーグラスとは言えないかも・・・?それはフォーク?しかし私のハートにはブルーグラス・
サウンドがいっぱい!そしてフォークも大好き!・・・」私は随分と迷いました。そして、何度も何度も自分のハートに問いただした末、娘が道しるべとなってCD製作を決意しました。
スウィート・グラス・コンサート
1997年に、『Izumi, Sweet Grass』コンサートを宮崎勝之、五十川清、他、の皆さんと共にスタートしサウンド作りが始まりました。
ミュージシャン方達からは「1st.ソロアルバムを作るのはものすごくエネルギーのいる大事業だよ」、と聞かされ、CD製作を決意してからイメージが出来上がるまでの4、5年の間は、
私にとっての夢、愛、希望をしっかりと見つめる孤独な作業が長く続き、「結果失敗だとしても、得るものはきっとあるはず!」と、サウンドをこつこつ積み上げて行きました。
昔歌っていた泥臭いボーカルとはしばらくさようならして、「大好きなブルーグラス楽器を使ったソフトなブルーグラス・サウンド、そしてブルーグラス・ミュージックを知らない人にもわかり易く日本語で歌って、重くならず、ちょっとオシャレで爽やかにブルーグラス・サウンドがハートに入って行く・・・、聞いて歌って心が癒される・・・」、そんなサウンドを自分に向かって求め続け、
どこまでできるか・・・それは誰にでもない、私自身への挑戦でした。
CDアルバム録音
2000年春、3回目の『Izumi, Sweet Grass』コンサートでオリジナルのサウンドも固まり、長い間かかったイメージも出来上がり、2001年6月よりCD製作に取り掛かりました。
制作の具体的な事について、私は何も判らないので宮崎勝之、五十川清におまかせし、両プロデューサーよって準備が進められ、京都のスタジオで録音をスタートしました。
宮崎勝之:マンドリン、五十川清:ドラムス、ペダル・スチールギター、坂庭省悟:ギター、吉田悟士:バンジョー、川辺ぺっぺい:ベース、のメンバーで最初に楽器の録音から
スタートしました。が、その為の仮歌の時、スタジオでは眠くて眠くて睡魔が次々と襲ってきます。・・・どうして?とボーカルのディレクターとして経験豊富な五十川さんに尋ねると、
「それでいい、神経立ってたら良いものできなし、リラックスしている証拠」。
また、坂庭省悟さんは「録音は眠いねー」と言ってられましたが「一発入魂」、と一声かけ、本番では神経集中、次々とギターの録音をこなされました。
ボーカル本番時は、ソフトなボーカルではあったものの、お腹の底からリズムと声を出し、全身全霊、意識をメロディーに集中しました。睡魔も本番は、どこかへ飛んで行き、ミュージシャンと共に、優しい風に包まれた様な、幸せな中での録音でした。
ナッシュビル
そして、楽しみにしていたナッシュビルでのオーバー・ダビング&ミックス・ダウンですが、9月11日のテロ事件で、アメリカ行きはやむなく断念しました。ナッシュビルでは参加ミュージシャンの
キャシー・キアボラ、ロブ・アイクス、リチャード・ベイリィ-、他、オペレーターのブレント・トゥルーイット、にもお会いするのをとても楽しみにしていましたので、ショックは大きなものでした。
しかし、今更ナッシュビルのすべての予定をキャンセルすることができず、先にデーター持って行かれていた宮崎さんと毎日電話で連絡を取り合い、作業の経過を確認しつつ、宮崎さんが無事にこれらを完成して下さいました。
「ハプニングがいっぱい!」と宮崎さんお電話で言ってられましたがその一つに当初、フィドラ-としては、オウブリー・ヘイニ-が予定されていましたが、録音当日に彼の身内に不幸があり、急きょケーシー・ドリーセンが参加して下さいました。
オーバー・ダビング初日、ナッシュビルのスタジオから、「今から始まります」の電話があり、そこから聞こえて来たのは録音曲「Ohioからの手紙」を弾くなめらかなドブロの音色でした。
・・・電話から聞こえたロブ・アイクスのドブロの音は、私にとって生涯忘れることのできないメロディーです。
私のオリジナル曲が旅をしてナッシュビルの電話から聞こえて来た・・・。それを思い出す度、涙が溢れ、なんだかそこが懐かしい故郷の様な気がします。心の故郷ナッシュビル!・・・すばらしいミュージシャン達の感性によって12曲のオリジナルがナッシュビル・サウンドに仕上がりました。
宮崎さんが帰国されて次の日に、その出来上がった音を聞きましたが、スカッと透き通ったナッシュビル・サウンドは、行けなかった寂しさを吹き飛ばす様なさわやかな音でした。アメリカン・ミュージックを深く愛している友人に出来上がってすぐの『Izumi, Sweet Grass』を早速聞いてもらいましたが、耳にも心にも優しいサウンドでのんびりとした休日の朝、モーニング コーヒーをいれて本でも読みながら聴くととても「いい気分」になれる、と言ってくれました。
ブルーグラス・ミュージックを知らない人にそして、ストレートなブルーグラスをいつも聞いておられる方の息き抜きとしても一度是非、皆さんに聞いて頂きたいと思います。京都とナッシュビルでレコーディングした、ちょっと珍しいサウンドを楽しんで頂きたいです。
そして、ステキなブルーグラス・ジェントルマン、ブルーグラス専門誌ムーンシャイナー編集長の渡辺三郎さんが音の世界をライナーノーツで締めくくって下さいました。
アルバム完成
CD製作も一段落つき、ほっ、として魂が半分抜けたようでしたが、次はジャケット製作。
音の世界とは逆の活字と写真を織り込んだブックレットで、視覚の世界です。『Izumi, Sweet Grass』コンサートのチラシを1回目から作ってもらった大学時代の後輩、
西村和志さんにジャケットをお任せする事にしました。 ジャケット表紙、等、写真はカメラマンによって大阪帝国ホテルで撮影、半日ジーッと私を
見て下さいました。撮影が終わり、お茶を飲んでいる時もその状態が続き、思わずポーズをとったりしておかしくなってきました。撮影はとに角リラックスが大切で緊張感
いっぱいの私は口が裂けそうなくらいチーズをしましたが、半日のモデル体験によって得たものもある様な気がします。
資料の活字と写真を組み合わせる世界は思っていたより細かく複雑で、音の世界に負けない位のエネルギーを要しました。
何人もの方々との信頼関係によってようやくCDは出来上がり、そして、出来上がった後、又、多くの方との信頼関係が結ばれていきます。
このCD製作にあたって得たものは嬉しいこと、辛かったことを含め、未来に通じる限りなく大きい愛そのものの様に思えてきました。
CD製作にあたり、関係者をはじめ音楽の友人、優しい女友達のアドバイスや支え、そして家族の理解あっての事と、心から感謝の気持ちでいっぱいです。特に宮崎さん、五十川さん「お疲れ様でーす。」
この記事を呼んで下さったあなた、これから出会うステキなあなたへ、
ブルーグラス・ミュージックへの一つの扉となると共に「人の心を癒す、心のお薬になる様な歌をオリジナルの『Izumi, Sweet Grass』のサウンドと共にブルーグラス、カントリ-、ブルース、
ジャズ、他を大好きなブルーグラス楽器に囲まれて歌って行きたい」、と思っています。
『Izumi, Sweet Grass』 を通じてブルーグラス・ファンが増えていく事を願い、「虹の彼方まで夢を追いかけ歌って行きたい」と思っています。この年齢でエネルギーを全開してソロ・アルバムを作ってしまいました・・・、こんな私ですが、どうぞよろしくお願い致します。
今後の活動と致しましては、色々な方々と楽しく「Sweet Grassサウンド」を広めて行きたいと思っています。ある時は宮崎さん、五十川さん他、京都のミュージシャン達と
又ある時は米原ブルーグラス愛好会のメンバー、大阪のドギーズ、フェイデッド・グラス等と共に、どこかでお目にかかれるのを楽しみにしております。
まだまだ書き足りない事がいっぱいありますがそれは又、次の機会に・・・。
最後にこのエッセイを読んで下さった方に・・・
一度しかないこの人生を、好きな音楽と共に楽しく豊かに過ごし、人生のタペストリーに、人それぞれの模様を織り上げていけたらステキだなって思っています。どうぞ、いつまでも音楽と共に幸せでお元気であります様に!私も音楽と共に幸せで元気でいます。See you!
アメリカン・ミュージックを含め音楽を愛する人達、追手門学院大学アメリカ民謡研究会OB、米原ブルーグラス愛好会、キー子、うっちゃん、井出さん、和子、おかもっち、ドギーズ、上岸裕さん、ケーシー、センタマ、有三、容一郎、美帆、・・・ありがとう、ありがとう!